中小企業新事業進出補助金とは?――大胆な新規事業に使える補助制度を解説

変化の激しい経営環境の中で、「これまで通り」のやり方だけでは限界を感じる場面が増えてきました。物価高騰、人手不足、地域経済の縮小など、多くの中小企業が持続的な成長のために“第二の柱”となる事業づくりに挑戦し始めています。
しかし、新たな分野に踏み出すには資金面の不安がつきもの。さらに、今の事業とは異なる市場・顧客に向けた計画をどう立てるかという点でも、多くの経営者が課題を抱えています。
こうした中小企業の挑戦を後押しする制度が、「中小企業新事業進出補助金」です。本記事では、この補助金の概要と活用ポイントを解説するとともに、当社がどのように皆さまの事業挑戦をサポートできるかをご紹介します。
🔹1.「中小企業新事業進出補助金」の概要とは?
「中小企業新事業進出補助金」は、国が実施する新しい補助制度で、中小企業が既存とは異なる市場・顧客に向けた新たな事業を立ち上げることを支援するものです。これまでにない“本格的な新事業”に対して、資金面の後押しを行う制度として注目を集めています。
🔸補助額と補助率
- 補助額:最大7,000万円(賃上げ特例を満たす場合は最大9,000万円)
- 補助率:2分の1(中小企業・小規模事業者等)
🔸対象となる費用
対象経費は非常に幅広く、新規事業の立ち上げに必要な多くの支出が含まれます。 例:
- 機械装置・システム導入費
- 建物改修・工事費
- 広告宣伝費・販売促進費
- クラウドサービス・ITツール利用料
- 専門家への外注費 など
たとえば、「製造業がBtoC向け直販事業を始めるための設備導入」や、「新たな業種に進出するための内装工事+マーケティング活動費」なども対象になり得ます。
🔸公募スケジュール
- 申請締切:令和7年(2025年)7月10日(木)18:00
- 電子申請(jGrants)による応募が必要です
この補助金は、「思いつきの新商品」「従来品の改良」ではなく、全く新しい市場や製品・サービスへの本格的な進出が対象です。単なる店舗の追加や業態変更では対象にならないため、しっかりとした事前整理と戦略が不可欠です。
🔹2.申請のポイント:本当に“新しい事業”であることが条件
中小企業新事業進出補助金の最大の特徴は、「新規性」のハードルが高いことです。これは従来の補助金(例:事業再構築補助金など)と比較しても明確です。
単なる新店舗の出店や、既存商品の改良、新しい顧客層への販路拡大では、この補助金の「新事業」とは見なされません。補助対象となるには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
🔸① 製品・サービスの新規性
- 自社としてこれまでに製造・提供したことのない製品やサービスであること
- 改良・リニューアルではなく、全く新しいコンセプトであること
例:製造業が部品製造ではなく、独自ブランドの最終製品を初めて開発・販売する など
🔸② 市場の新規性
- 既存の顧客層・ターゲット市場とは異なる市場に向けた取り組みであること
- 業界・業種・販路・エリアが明確に異なる必要がある
例:BtoB中心だった企業が、BtoC向けの新市場に進出する
地域密着型のサービス業が、都市部・全国向けにEC事業を立ち上げる など
🔸③ 売上構成比の基準
- 新事業による売上が、**事業全体の10%以上(または付加価値額の15%以上)**を占める計画であること
この要件は単に「やってみたい」というレベルでは通らず、具体的な数値計画と実現性のあるビジネスモデルが求められます。
🔸その他の留意点
- 年平均4%以上の付加価値成長が求められます
- 都道府県ごとの基準を満たす賃上げ計画の策定と実行が必要です
- 未達成の場合は補助金の一部返還リスクもあるため、事前の見通しが重要です
このように、「中小企業新事業進出補助金」は非常にチャレンジングな制度ですが、その分、本気で事業を変革・拡大しようとする企業にとっては強力な後押しとなります。
※注意:申請書ではこれらの「新規性」の根拠や、売上の裏付けを具体的に説明する必要があり、内容次第で採択率は大きく変わります。
🔹3.こんな挑戦に活用されています(活用イメージ)
「中小企業新事業進出補助金」は、既存の延長ではなく、これまでの事業とは異なる市場・顧客・製品に本格的に踏み出す挑戦を対象としています。ここでは、実際に補助金の活用が期待できる事例の“イメージ”をご紹介します。
🔸製造業 → 自社ブランドでBtoC市場に進出
これまで下請けとして法人向けの部品製造を行っていた中小企業が、
・自社ブランドの生活雑貨を企画・開発し、
・ECサイトと直営店舗で販売するBtoCモデルに新規参入。
製品も市場もまったく新しい構造であり、補助対象になり得る典型例です。
🔸サービス業 → 別業界向けのITサービスを開発
地域密着型の人材サービス業が、
・人材マッチングの知見を活かして、
・介護業界向けの業務支援SaaSを新たに開発・提供。
自社の強みをベースに、まったく異なる市場と製品に展開した事例です。
🔸地場企業 → 都市型市場への進出+新業態展開
地方で複数の飲食店舗を展開していた企業が、
・都内一等地に全く新しいコンセプトの高付加価値カフェを新設。
・ターゲット顧客や価格帯、ブランド戦略も従来と完全に異なる。
「新ブランド」だけでは要件を満たさない可能性がありますが、
“顧客”“商品”“提供価値”のいずれも変えることで、新市場進出として認められる可能性があります。
🔸異業種進出・新法人設立による新分野開拓
これまでBtoBで製造設備の販売を行っていた企業が、
・観光客向けの地域産品セレクトショップ事業を新法人で立ち上げ。
・マーケティング・店舗運営・商品構成すべてを刷新。
事業ドメインが根本的に異なるため、**「真の新事業進出」**と認められる可能性が高い事例です。
⚠補足:「新業態」「新商品」「新ブランド」など、既存の延長線上にある取り組みは、本補助金の「新事業要件」を満たさない可能性があります。
事業構想段階で、「どこがどう“新しい”のか」を明確にしておくことが非常に重要です。
🔹4.補助金は“手段”にすぎません。成功する事業をつくることが最も重要です
補助金はあくまで、**事業の成功を支えるための一時的なサポートに過ぎません。**採択されたからといって事業が必ず軌道に乗るとは限らず、実際には「採択されたものの、計画どおりに進まず赤字に…」という声も少なくありません。
本当に重要なのは、補助金がなくても成り立つ事業設計になっているかどうかです。
🔸「補助金のための事業」ではなく、「事業のための補助金」に
補助金を活用する際によくある落とし穴が、「補助金をもらうために計画をつくる」ことです。
しかしそれでは、本来の目的である**“持続的に収益を生み出す事業”**とは言えません。
採択されること自体がゴールではなく、
その事業が軌道に乗り、会社の将来を支える柱になることこそが本当の目的です。
🔸補助金を最大限に活かすには、全体設計が不可欠です
新事業には、以下のような多面的な準備・検討が必要です。
- 資金調達(補助金+自己資金+金融機関等)
- 人材配置・採用戦略
- 販売戦略・マーケティング設計
- 既存事業との役割分担・組織体制
- 収支モデルとキャッシュフロー管理
補助金はこの全体設計の“ひとつのピース”でしかありません。むしろ、「新事業の設計がしっかりしているからこそ、補助金がうまく活きる」のです。
🔸伴走支援の重要性
だからこそ、新規事業に精通した外部の専門家と一緒に、事業全体を設計していくことが重要です。
単なる「申請書の書き方」ではなく、構想段階からの壁打ち・検証・ブラッシュアップを行うことで、補助金に依存しない健全で強い事業づくりが可能になります。
🔹5.当社にご相談ください――構想から実現まで、一貫して伴走します
新しい事業への挑戦には、アイデアだけでなく、**計画力・実行力・資金戦略のすべてが求められます。**それらを一貫してサポートできる存在が必要です。
私たちは、単なる補助金の申請支援にとどまらず、「事業を成功させること」そのものをゴールに支援を行っています。
🔸中小企業診断士・認定支援機関としての実績と専門性
当社の代表は、中小企業診断士および経済産業省認定の支援機関として多数の支援実績を有しており、これまでさまざまな業種の中小企業の成長をサポートしてきました。
- 採択実績は90%以上
- 事業再構築補助金、持続化補助金などの大型補助金も含め、豊富な制度対応経験
- 店舗ビジネス・サービス業・製造業など、現場に即したリアルな事業計画づくりに強み
🔸補助金だけじゃない、総合的な事業支援
当社では、補助金の申請書を「作る」だけでなく、以下のような新規事業全体にかかわる戦略設計・実行支援も行っています。
- 事業構想の壁打ち・事業性の検証
- マーケティング戦略の立案と導入支援
- 資金調達計画の組み立て(補助金+融資など)
- 必要に応じた人材体制や組織づくりのアドバイス
- フランチャイズ展開や多店舗化に関する事業相談 など
「補助金を活用して、どのように成長戦略を描けるか?」
「今考えている新規事業は、そもそも対象になるのか?」
という構想段階でのご相談も大歓迎です。
🔹最後に まずは無料相談で、可能性をチェックしませんか?
中小企業新事業進出補助金は、要件や準備項目が多く、申請ハードルが高い制度です。しかし裏を返せば、本気で新しい事業に挑戦する企業にとっては、これほど心強い後押しはありません。
とはいえ、「自社の計画が対象になるのか」「何から手をつければいいのか」といった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そんな時は、まず無料相談をご利用ください。
🔸無料相談では、こんなことが確認できます
- 現在の構想や事業アイデアが補助対象になるかどうか
- 要件を満たすために、どのような工夫や設計が必要か
- 補助金以外に活用できる支援策・資金調達手段があるか
- 計画をどう具体化すれば、補助金申請にふさわしい内容になるか
🔸ご相談方法(選択肢の例)
- オンライン(Zoom等)または対面での30分~60分相談
- 相談料:無料(初回のみ)
- ご希望に応じて、補助金スケジュールや申請ステップのご説明もいたします