月次決算・試算表では遅い! 飲食業の日次決算のポイント
通常、月次決算の数字が固まるのは翌月の中旬ごろ。その数字を見て改善アクションをとっても、効果が出るまでに時間が経過してしまいます。飲食業の場合は、日次決算で数字の良し悪しを把握する必要があります。今回は飲食業の日次決算のポイントを説明します。
1.日次決算の概要と管理すべき数値
日次決算とは、基本は毎日の営業終了後にその日の数字を入力して、月間の累計値(もしくは月末の着地見込み値)と計画値を比較して、改善点がある場合はすぐに修正していくという手法です。日々チェックと改善をしていくため、数字が悪化傾向にあっても次の打ち手にすぐ取組めるというメリットがあります。
日次決算で求められるのは正確な数値より速報値です。そして、全ての数値が必要というわけではなく、飲食業の場合は基本的には売上と原価、人件費のみを日次で管理します。店舗で管理できる数値はこの3つであり、それ以外の数値(例えば光熱費や家賃など)は店舗で管理できない、もしくは経営に占める割合が低い数値となるため、月間の予測値を日割りでいれておけばいいでしょう。
2.原価(率)のポイント
通常、原価率を算出するには棚卸をして在庫金額を算出する必要があります。しかし、飲食業で日次で在庫を算出するのは現実的ではないので、仕入金額を原価として計上します。この場合、月の累計額で原価率を見るのがポイントです。例えば、週末の売上が高い店舗であれば、その前の木曜・金曜に仕入が集中して、日ごとに見ると木曜と金曜の原価率が高くなります。そうではなく、月の累計の売上と仕入額を比較して、原価率が適正範囲になっているかを確認するといいでしょう。
3.人件費(率)のポイント
人件費で重要なのはアルバイトの人件費です。社員の人件費は、よほど残業時間(残業代)が多い場合をのぞき、固定給として日割りで計上しておけばいいのですが、アルバイトの人件費は日ごとに管理する必要があります。この人件費を日ごとの推移と月の累計を確認して、特別な理由(例えば新人が多くて研修に時間を使っているなど)もないのに上昇傾向にあるのであれば、生産性をあげるための打ち手が必要となります。
今回は、飲食業の日次決算について説明しました。日次で推移を見ていくのは大変ですが、逆に推移を確認して適切な打ち手を実施すれば成果が出やすいとも言えます。ぜひ、チャレンジしてみてください。